by 山田達也 2023年11月1日 ≪Column vol. 35≫
すっかり秋になりました。行楽シーズン真っ盛りという感じで、紅葉を楽しむ人たちで名所はどこも混んでいるようです。海外からの観光客も増えてどこも賑わっています。日本に来ていろいろな体験をして日本の良さを味わってもらえたら何よりです。
今は誰でもスマートフォンで、個人が発信した情報を見ることができるためか、名所旧跡に拘わらず自分で情報を取得して、興味がある所に行かれる人もかなりいるようです。観光も多様化して興味があることや、その人の価値観によって様々な過ごし方があるのはとても良いことだと感じています。
秋といえば「読書の秋」。ここのところ一度読んだ本を読み返す回数が増えました。今までも読み返すことは何度もありましたが、ここ10冊くらいはすべて過去に読んだ本です。
本棚を見て久しぶりにこの本を読み返してみようと思い、一冊読むとかなり忘れていて、こんなストーリーだったんだと改めて感心したりして、それなりに楽しんで読んでしまいます。そうするとその本の作家の作品で関連がある本を思い出して、大筋は覚えているつもりなのにかなり内容は忘れていて、その本をまた読んでしまうという事を繰り返してしまいます。特に関連三部作みたいな本は、全部読み返さないと気になってしょうがなく、すべて読み終わると物語の流れが整理されて「ああこういう順番でこうなっていたんだ。」なんて妙に納得して「やはりいい小説だなあ」なんて思ったりして、なんていうか何回読んでも面白い本は面白いんですね。
読み返した本で多いのが「宮部みゆき」「浅田次郎」「高村薫」その他にも過去の直木賞受賞作や本屋大賞の作品などもたまに読み返したりします。
過去に読んだ本を再度読むときに、おそらく最初に読んだ時よりも細部まで見落とさないで深く読み込もうと意識している気がします。なんでかわかりませんがもうこのストーリーを忘れないようにとか、巧みなこの言葉の表現を覚えておこうとか、何かしらそんな意識が働いてしまうのかもしれません。何かの話題で本の話になったときに「そう言えばあの小説の主人公はこんなことを言っていたよ。」とか「あの作家の文章で感動したのはこんな言葉だった。」とか後日いろんな人から、「よくいろんな本を読まれていますね。」「そんなことまでよく覚えていますね。」とか言われたいがためなのかもしれません。
ところが後日友人たちと飲んでいて本の話になって、「ほらあの本、作家が我々と同年代の、なんかミステリーっぽい話でさ。」なんてことになってしまうのです。ど忘れして名前が出てこない、とても中身のことなど語る前から周りの人たちから、「まあ思い出したらまた話してよ。」なんて言われる始末です。まあ来年古希を迎える自分としては、好きな時に読み返して読んでいるときの幸福感を味わえれば十分だと思うようにします。
最近仕事で面白いと感じるのは、例えば建物のプランとか、用地の活用方法のプランとか、何か組み立てたり分解したりして整理することをしている時です。
お客様との打ち合わせが進むにつれて、建物プランだと優先順位がはっきりして来てそこから間取りが整理されて、更にそこにこんなことにしたら面白いみたいな提案をして、特徴のあるプランが現れる。用地の活用だとこちらもまたいくつかのプランを提示して絞り込んでゆき、お客様のライフプランに合わせて選択してもらい、その内容を具体的に煮詰めていく。というような事がやはり仕事をしていてとても楽しいと感じています。
何かを作り出していく工程は、不謹慎かもしれませんがやはりわくわく感がありますね。
勿論出来上がった時には、建物にしても土地活用にしても満足感があり楽しい気持ち、幸せな気持ちになります。また最後にこのような気持ちになれるように仕事は楽しみながら努力しないといけないのでしょうね。
仕事ですので楽しいばかりではなく辛い事もありますし、様々な壁にぶつかることもあります。解決するために話し合いが必要な場面は多々あります。
いろいろなケースはありますが、参考になるのは過去に経験した事柄です。
似たような事案でそういえばあの時はこんな解決方法を提案して相手の方に納得してもらったとか、この様な話をして理解していただいたとか、そこはとても大事なことで、実例に基づく思考が必要です。
難しい問題にぶつかっても過去の事例があることで力になりますし、ちょっと辛いなという事でも積極的に行動しようという気持ちに切り替えがしやすくなります。とにかく仕事は前向き思考で、きつい仕事でも結果的には良かったと思えるように頑張りたいです。
そのためにも読んだ本の内容を忘れるように、過去の経験を忘れてはいけないと強く感じています。