by 山田智也 2024年3月31日 ≪Column vol. 2≫
ウェルネス(Wellness)という言葉は1961年にアメリカの医学者により提唱され、「健康」という定義を更に深くまで踏み込んで、なおかつ広範囲な視点から見た価値観としての健康を考える際に適した言葉のようです。生活科学として、運動を日常生活に取り入れて、健康的に日々の暮らしを送ろうという主旨があるようです。
日本では2004年に日本ウェルネス学会が設立され、研究者や実践者が集まり、活動をしているようですが、同じくウェルビーイングという言葉も最近日本でもよく聞くようになりました。身体だけではなく精神面、社会面も含めた新たな健康という意味で、より心身ともに健康であることの重要性が求められている時代になってきました。
去る、3月上旬に横浜の赤レンガ倉庫で開催された「ヨコハマ FM マラソン」の10kmの部に参加してきました。気が置けない仲間たちと3名で、お酒の席での勢いで大会にエントリーをしてしまい(笑)いわゆるおしりが決まった状態でのスタートです。ただ、大会に出場する目標ができたからこそ、スマホにナイキのランニングアプリを入れて、はじめは3kmから、5km、7kmと、少しずつ距離を伸ばし練習をして、当日は10kmを1kmあたり6分ペースを目標にしましたが、天候にも恵まれてなんとか3人共にクリアすることができました。考えてみれば、こういったレースに出場するのは10年以上ぶりでした。
ランニングは医者からも推奨されていますが、目標がないとなかなか継続することが難しいです。ちょっと寒かったり、風が強かったり、また暑かったりすると、すぐに自分に言い訳をして「今日はいいや、また明日にしよう」とついついサボってしまいがちです。ただ、こうして大会にエントリーをすると必然的に完走をするという目標ができるので、結果的にそのゴールに向かって自分なりに日々の生活を気にして摂生したり(すくなくとも暴飲暴食は避けたほうがいい、と自分に言い聞かせるきっかけにはなる)
また、ランニングに行くことが習慣化することは、ウェルネスにもつながると思いますのでこれからも定期的に続けたいと思います。
ソーシャルメディアの分野でのウェルネス、ウェルビーイングも話題になってます。アメリカのフロリダ州では14歳未満のSNS利用禁止の法案が成立し、今後は全米50州のうち35州が規制などの子供への保護策の導入に乗り出すそうです。
この背景には、若者のメンタルヘルスの問題が深刻化していることもあるようです。
NTTドコモのモバイル社会研究所の調査によると、日本でも2022年に小学校高学年の4人に1人がTikTokを利用しているようで、もはやその世代が大人になったときにはひょっとしたらまた次の世代は違うサービスを利用しているのだと思うと、時代の流れとテクノロジーの進化スピードには追いついていける気がしません。
南カリフォルニア大学などによるSNS各社のユーザーアンケートによる生活満足度を表した調査結果では、2003年にアメリカでスタートしたLinkedinがトップ、TikTokが下位となっております。もっとも、私の周りにもたくさんのSNSユーザーはおりますが、どのサービスにおいても良いユーザーとそうでないユーザーとがいますので、一概に上位SNSであれば安心かというと、そうではないのですが、少なくとも、これらの一部のサービスでフォロアー数が増えると広告収入等が発生し、運営会社から収入を得ることができる仕組みがあるので、いわゆるインフルエンサーによるSNSマーケティングが、これまでの広告業界のあり方やコマーシャルの概念を一気に変えてきた要因でもあります。
最近、若者たちが、旅館で暴れたり、バイト先でイタズラをしていた動画がSNSに流れて大事件になったりしたこともあり、そういったニュースを見るたびに、「だれか、この悪ふざけをとめる仲間はいなかったのか?」と思ってしまいます。SNSで「バズる」ことが楽しくて、皆が求めていることだから、どうもそこが優先してしまい普通に考えたら一人だったら絶対にしないことをSNSのオーディエンス向けに、匿名だからいいかと軽い気持ちでこのような悪ふざけをして、それを良くも悪くも視聴する人がいて、その数が多ければ多いほど広告料が入る、という仕組み自体に問題があるような気がします。
また、米国で2003年にスタートしたLinkedinは、プロフィール写真の他に個人の学歴や職歴、趣味、つながっている人のネットワークから、過去の職場での実績、上司からの推薦文などまで掲載されていて、主にリクルーターに対しての自己PRにはもってこいのSNSです。私個人的には、会ったこともないのに、まるで「私はこんなにすごいキャリアなの。どう?私ってすごいでしょ?」と言わんばかりのアピール内容ばかりでかなりドン引きしました。この価値観も、日本にも広まりつつあり、転職ツールのひとつとして利用されているようで、個人的にはちょっとがっかりです。その人と出会ってから、時間と共に少しずつお互い分かってくることで、より信頼関係が築かれるものもあるだろうに、と思ってしまいます。人と人もそうですが、企業も、組織も、色々な価値観があって然るべきですし、だれもが皆同じような道を歩んだ人ばかりで集まっては面白くありません。仕事でも、そういった考えをもちながら様々なことにその状況に応じて対応できるように日々研鑽して参りたいとおもいます。